サステナブルファッション。Mafiabagsはちょっと違う。
近年、サステナブルファッションという言葉が広く知られるようになりました。
環境への配慮、リサイクル素材の活用、生産背景の透明性──。
多くのブランドがその方向を目指し、次々とエコな商品が生まれています。
でも、Mafiabagsがつくるバッグは、ただの“よくあるサステナブルファッション”ではありません。
私たちが作っているのは、素材の記憶を生かし、職人の手で一点ずつ仕上げられるクラフトアイテム。
大量生産とは真逆の道を選び、“同じものは二度とつくれない”という価値を大切にしています。
この記事では、なぜMafiabagsが「量産しない」のか。
そしてその背景にある制作工程と想いについてご紹介します。
すべてのバッグに、“素材の人生”が刻まれている
Mafiabagsが使う素材は、すべて実際に使われてきたもの。
例えば──
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ヨットやカイトサーフィンで使用されていたセイル(帆)
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ヨセミテ渓谷で登山家が命を預けてきたクライミングロープ
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着古されたPatagoniaのナイロンジャケットやウェットスーツ
色も厚みも、表面の質感もひとつひとつ違う。
潮風でくすんだ跡、波を受け止めた痕跡、海水のしみ込みや縫い目の傷み――
それらすべてが「素材の記憶」として残り、それがMafiabagsの“表情”になります。
なぜ“手仕事”なのか?|クラフトという選択
再利用素材を扱う上で、もっとも大切なのは、量産しようとしないことです。
素材がまっすぐな長方形とは限らず、柔らかさも厚みもまちまち。
だからこそ、Mafiabagsではすべての製品を職人の手による“クラフト”として仕上げています。
工程① 洗浄|まずは素材との「初対話」
Mafiabagsの工房に素材が届くと、まず最初に行うのが**“洗浄”**です。
帆やカイトは大きな状態で寄付されることが多く、まずは作業しやすいようにざっくりと大判にカット。
その後、塩分・砂・油・泥などを徹底的に落とします。
この工程が不十分だと、バッグに臭いや汚れが残ってしまいます。
そのため、洗剤の選定や洗浄時間、乾燥方法にもこだわり、素材に過剰なダメージを与えない洗浄処理が求められます。
工程② 裁断|素材に“向き合う”という作業
洗浄が終わると、素材は次に裁断のステージへ。
しかしこれは、普通の裁断とはまったく違います。
新品の布と違って、アップサイクル素材には使える部分と、使えない部分が混在しています。
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紫外線による劣化で、裂けやすくなったエリア
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破れや大きな汚れが残ってしまった箇所
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古い縫い目や補強部分が硬くなってしまった部分
これらを職人が一つ一つ、手と目で見極めながらカットしていきます。
時には「あと5cmずれていたら完璧だったのに」と思うようなこともしばしば。
裁断は、まさに素材との“対話”そのもの。
形を押し付けるのではなく、素材の個性を活かしながら最適なパーツを抜き出す――
その工程には、量産の世界では得られない発見と緊張感があります。
工程③ 縫製|1点ものとしての「整え」
裁断が終わったパーツは、いよいよ縫製されてバッグへと組み上がっていきます。
ここでもポイントは、“ただ縫う”のではなく、柄や素材感のバランスを整えること。
複数の色やロゴの断片、ステッチ跡が混在するセイル生地は、組み合わせによってまったく違う表情になります。
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あえてロゴを目立たせる配置にする
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無地と柄をバランスよく配する
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色調が近いパーツをまとめて、落ち着いた印象にする
こうした感覚は、工業デザインというよりも“クラフト”の領域に近く、
一つとして同じものがないバッグたちがここで生まれていきます。
同じものが作れない。だから、特別になる。
Mafiabagsでは、大量生産はできません。
なぜなら、素材の入荷が不定期だから。
ある日は真っ白なセイルが届き、また別の日には色鮮やかなロープが届く。
時には数か月間、特定の素材がまったく手に入らないこともあります。
つまり、同じバッグを「再販」することができないのです。
でもそれは、欠点ではありません。
「そのときにしか出会えない」バッグがあるという贅沢。
それこそが、Mafiabagsが“1点もの”にこだわる最大の理由です。
「工業製品ではないバッグ」という選択
今の時代、均一で効率的なものづくりが主流です。
品質は安定し、価格も抑えられ、納期も正確。もちろん、それは素晴らしいことです。
でも、そんな中でMafiabagsは不安定さと向き合いながら、時間をかけてモノをつくっています。
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素材の出自を知り、
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手作業で向き合い、
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1点1点に命を吹き込むように仕上げていく
バッグの中には、素材の履歴と作り手の時間がぎゅっと詰まっています。
まとめ|“誰かの手でしか作れないもの”を、あなたの毎日に。
もしあなたがバッグを探していて、
「誰かと同じでなくていい」
「むしろ違っていたい」
「そこに物語があってほしい」
そう思うなら、Mafiabagsはその答えを持っているかもしれません。
私たちのバッグは、使う人によって表情を変え、
時間とともに“あなたのもの”へと育っていきます。
それは、ちょっとした贅沢ではなく、
持ち物との関係を変えるという選択肢なのです。
そしてなにより、Mafiabagsは
“ただのよくあるサステナブルファッション”ではありません。
素材の背景を読み取り、一つひとつを手で仕上げていくプロセスは、
クラフトそのものであり、作り手と使い手をつなぐ文化でもあります。
機能と思想を備えた1点もののバッグは、
日常に「意味のある選択」を静かに添えてくれる存在なのです。